台湾で行方不明になった息子を探すニュージーランド人男性の旅を追ったドキュメンタリーで、数々の賞を受賞した作品が、台湾で劇場公開されています。
「費爾的旅程(英題:Phil’s Journey)」と題されたこの映画は、ニュージーランドの彫刻家フィル・チェルネゴフスキー(Phil Tchernegovski)さんが、1998年にバックパックで一人旅中の息子のルーベン(Reuben)が、阿里山で行方不明になった経験を追ったものです。1998年から2002年にかけて6回にわたって台湾を訪れるなど、息子を探すために父親がとった行動と、息子は見つからなかったものの、その間に台湾と台湾の人々に親しみを覚えたことが描かれています。
台湾の陳勇瑞監督が、フライト前に読もうと手にした劉克祥による「十五顆小行星」という本で、この物語に出会ったのがはじまりでした。この本の最初の話がチェルネゴフスキーさんの話で、陳監督は機内で涙を流したといいます。そして、この物語を映画化することを決意したのです。
陳監督は劉氏やニュージーランドに住む台湾人の協力のもと、チェルネゴフスキーさんと連絡を取ることができました。陳監督は、このプロジェクトを進めるためにニュージーランドに飛び、さらにチェルネイゴフスキーを台湾に呼び寄せます。そして、チェルネゴフスキーさんが何年も前にルーベンを探した足跡をたどり、阿里山の峰山村と来吉村の先住民ツォウ族の人たちを訪ねました。この先住民の人々は、当時チェルネゴフスキーさんの息子捜索に協力し、「息子は森になった」と考えられるように助言してくれたのです。
このドキュメンタリーはいくつかの映画祭で上映され、国際世界映画賞の最優秀アジア映画賞、第7回アート・インディペンデント国際映画祭とポートブレア国際映画祭の最優秀ドキュメンタリー賞など、複数の賞を受賞しています。