国際的に高い評価を受けているニュージーランドの建築家・研究者であるアンソニー・ホーテ(Anthony Hoete)教授が、古代マオリの建築技術を復活させるためにイギリスから帰国しました。
同教授は、オークランド大学のチームを率いて、1931年のネイピア地震で破壊されたベイ・オブ・プレンティ地方の歴史的なファレヌイ(マオリ語で集会所の建物)を再建することを目指します。
この再建は、建物の耐震性を向上させることを目的としており、マオリの伝統的な建築手法であるミーミロ(mīmiro)を取り入れる予定です。
「ミーミロの起源は、私たちの祖先が太平洋を横断するために使った船と固く縛った帆にまでさかのぼることができます。彼らは、構造物を作り、強さと張力を生み出すことに深い知識を持っていました。そのため、失われた技術を再現し、それを使ってファレヌイの耐震性を高めたいと考えています」とホーテ教授は語りました。
ニュージーランドでは、ミーミロの技法を取り入れた建物は1軒しか残っておらず、その技法はもはや絶滅の危機に瀕しています。
ホーテ教授のチームは、1860年にオリジナルのファレヌイを建設したNgāti lra o Waioweka iwi(人々)と緊密に連携していく予定です。イウィ(部族)の先祖を表す重要な木彫りは、地震の残骸から救い出され、90年間、マラエ(マオリの集会所)の小屋に保管されていました。それらは新しい建物に組み込まれる予定です。
ホーテ教授は、このプロジェクトに地域の人々を巻き込むことに情熱を注いでいます。
「私たちは、地元のコミュニティや学校と多くの奉仕活動をしていますが、地元の若者の中には、すでに建築の仕事に興味を示している人もいて、とても驚いています」とホーテ教授。
このプロジェクトは、Toka Tū Ake EQC(地震委員会)および英国オックスフォード・ブルックス大学のEndangered Wooden Architecture Programmeから資金援助を受けています。
画像著作権:Toka Tū Ake EQC(地震委員会)