アグリビジネス・バンキングの専門家であるラボバンク(農業組織向け金融機関の統括金融機関)が発表した報告書によると、世界的に大きな混乱が続いているものの、ニュージーランドの農業生産者は2022年も利益を上げると予測されているようです。
報告書によると、2021年はニュージーランド産の農産物のほとんどで、現地での農産物価格が記録的な高値となったとのこと。ニュージーランドの農業部門は、不安定なサプライチェーンをうまく利用し、世界的なパンデミックにもかかわらず貿易の流れを維持し、中国との貿易関係も堅調に推移しているとのことです。
豊富な機会
南米、アメリカ西海岸、ヨーロッパの一部で悪天候が続き、価格高騰の中で生産量を増やすことができないため、競合他社の生産見通しは依然厳しく、ニュージーランドは今後1年間、世界の農産物市場で有利な立場にあると報告されています。
主要商品の世界的な生産抑制は、ニュージーランド製品の堅調な需要と価格設定を支えることになると考えられます。
今後のリスク
特に新型コロナウイルスや中国経済が引き続き大きな脅威となり、インフレの高騰やサプライチェーンの問題も発生するため、ニュージーランド農業セクターのリスクは高まると報告されています。
また、輸送費の問題やサプライチェーンを巡るインフレ圧力の高まりも、2022年には引き続き「頭痛の種」となることが予想されます。
さらなる変化と不確実性
ラボバンクのアウトルックによると、2022年には、環境持続可能性の分野で規制の枠組みが発展し続けるため、不確実性がさらに高まると予想されています。主要な出来事としては、農業の排出権価格設定メカニズムに関する決定や、政府排出権予算の発表などが挙げられます。
2022年のコモディティ展望
乳製品:世界的な供給不足は堅調な商品価格を下支えしますが、インフレによるコスト圧力は過去最高価格の上昇分を押し下げるでしょう。
牛肉:ラボバンクは、世界的な牛肉供給不足と中国および米国の強い需要に支えられ、2022年の牛肉出荷価格は5年平均を上回る水準で推移すると予想しています。
羊肉:特に中国の需要は堅調で、世界的な羊肉の供給量の増加が予想されるものの、来年にかけて農家出荷価格の上昇を支えることになりそうです。
鹿肉:鹿肉市場は、欧州と米国での外食の再開に伴い、2022年も回復が続くと予想されます。ラボバンクは、出荷価格は2021年から22年にかけては低調に推移するものの、2022年から23年にかけては上昇すると予想しています。
園芸:出荷されたキウイフルーツ1トレイに対して、果樹園が受け取る報酬(OGR)は、消費者の強い需要を背景に、2022年も高い水準で推移すると予想されます。2022年には、ライセンスエリアと入札プロセスに大幅な変更が加えられる予定です。